アブダビにおける自動運転タクシーの試験運転開始
アブダビにおいて、2021年の第4四半期より、自動運転タクシーの試験運転が開始されると、アブダビ・メディアオフィスより発表がありました。同取組は、アブダビ運輸局(The Department of Municipalities and Transport)およびGroup42(G42)の一翼をなすBayanat社との共同事業となります。G42は、昨年11月の記事でもご紹介した通り(アブダビの先端IT企業Group 42の拡大路線(2020年11月10日記事))、2018年に設立されたAI技術やクラウドコンピュータを専門とする企業です。また、2021年1月に同社は、地理空間データの作成を専門とするBayanat社を買収しています(G42 Announces the Acquisition of Bayanat – Group 42)。同取組は2つのフェーズで構成され、第1フェーズでは3台の自動運転タクシーを、アブダビの主要ホテル、レストラン、ショッピングモール等の間で運行させます。第2フェーズでは台数を10台に増やし、運行区間も市内各地に拡大させます。両フェーズとも午前8時から午後8時まで、無料で運行され、自動運転ではありますが安全担当員がドライバー席に同乗します。
UAE政府は、2030年までにすべての交通機関の25%を無人化する方針を掲げており、今回の取り組みはその達成に向けた動きの一環です。すでにドバイでは無人運転の法整備が2019年から進められており、シャルジャでは昨年無人自動車の試験運転も行われています。こうしたUAE全土の努力も相まって、KPMGが発表した「自動運転に向けた準備国ランキング(2020年)」において、UAEは総合8位、技術インフラ変革の準備ランキングでは1位となっています(なお、2020年の総合1位はシンガポール、日本は11位)(2020 Autonomous Vehicles Readiness Index (assets.kpmg))。
UAEでは、G42に見られるような民間企業の積極的な取り組みに加え、政府の意欲的な目標も後押しとなり、官民一体となって最先端技術の利活用に尽力しています。上記に見られるような自動運転の分野は、日本も得意とする技術が多々あり(上記KPMGのランキングでは、日本はカーナビ等のAV機器関連の特許量で1位、技術・イノベーションで3位となっています)、今後UAEにおいても、日本の高い技術力を活かしたビジネスチャンスが多く存在すると考えられます。
ksnコーポレーションでは、ドバイ政府機関との提携関係の下、UAEや中東市場における各種規制の調査から参入戦略の立案、現地パートナー候補のご紹介、展示会出展のサポートといったご支援をさせて頂いております。UAEや中東地域への進出や販路開拓にご関心をお持ちの企業様がいらっしゃいましたら、是非お気軽にお問い合わせください。
参考文献:
Driverless taxis to be launched in Abu Dhabi this year as part of pilot scheme | The National (thenationalnews.com)