中東ビジネス最新情報 ・2020年12月28日

伊藤忠と日立造船がドバイにおける世界最大級のゴミ発電を受注 

世界中で盛り上がっているSDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標):国連が2015年に提唱した開発目標で、環境問題等、地球規模での課題解決に向けた17の目標と169のターゲットから構成)ブームですが、中東においても盛り上がりを見せており、UAEでは近年再生可能エネルギー市場への投資が盛んに行われています。例えば、以前本稿でも紹介した通り、UAEにおける主要首長国の一つシャルジャに本拠を構えるBee’ahは、同地において積極的に廃棄物処理ビジネス事業を展開しています(2020年8月11日記事)。また、日系企業による関連市場への進出も徐々に増加しており、直近では、伊藤忠商事と日立造船が、ドバイにおいて世界最大級の廃棄物焼却発電を受注しました。同プラントの稼働は2024年を予定しており、年間の廃棄物処理量は約190万トンに達します。これはドバイ全体から出る廃棄物の半数に匹敵し、発電効率は世界最高水準の約30%に達する見込みです。また、出力は20万キロワットで、約14万世帯の電力をカバーします(参照元:バーレーンを本拠地とする中東関連のビジネスニュースサイトTradeArabia掲載)。

今回の受注案件の出資比率に関しては、伊藤忠が20%、日立造船のスイス子会社の日立造船イノバが10%、ドバイ・ホールディング(UAEの政府系持ち株会社)が31%、残りは現地企業など3社が出資を行う予定ですが、今後は同事業がBee’ahのような現地企業と積極的なシナジー効果を生んでいくことが期待されます。

廃棄物発電は、生物資源を原資とするバイオマス発電の一つとして位置付けられており、SDGsの重要な柱である再生可能エネルギーの一つです。このような環境配慮型かつ循環経済型の産業は、UAEを含む中東全体でも大きなトレンドとなっており、サウジアラビアが掲げる「ビジョン2030」の脱石油・産業多角化にも大きく寄与するものと期待されています。こうした中東全体の取り組みに対しては、今回の受注に見られるように、日本企業の進出の余地は非常に大きく、コロナ禍の閉塞感を打破する地球志向型・未来志向型のビジネスは、同地においても極めて大きなチャンスを秘めていると考えられます。

ksnコーポレーションでは、ドバイ政府機関との提携関係の下、UAEや中東市場における各種規制の調査から参入戦略の立案、現地パートナー候補のご紹介、展示会出展のサポートといったご支援をさせて頂いております。UAE及び中東地域への進出や販路開拓にご関心をお持ちの企業様がいらっしゃいましたら、是非お気軽にお問い合わせください。


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