アブダビにおける国営企業の動向
アブダビ国営石油会社(Abu Dhabi National Oil Company, ADNOC)とアブダビ最大の持ち株会社の一つであるADQがTazizというジョイントベンチャーを立ち上げ、アブダビのルワイス(Ruwais)地域におけるRuwais Derivative Parkの開発を推進することが発表されました。ルワイスは、ドバイ国際空港からは約350km離れたUAE西部の石油化学工業地帯で、1970年代より「UAEのエンジン」と呼ばれるほど重要な地域でした。その理由は、大規模な製油所が立地していることで、ADNOCは2015年にルワイス製油所を世界最大級の製油所(81.7 万 BPD)にまで拡張させています。
Ruwais Derivative Parkは2021年に開発が開始され、2025年に最初の石油化学品の製造が開始する予定となっており、初期投資額は180億ディルハム(約5,400億円)が予定されています。
また、先週公開した「アブダビの先端IT企業Group 42の拡大路線(リンク)」では、アブダビによる近年産業多角化と新産業育成の取り組みとして、先端IT企業を紹介しました。そちらに関連する話題として、アブダビ政府が先端技術研究センター(Advanced Technology Research Council)の技術イノベーション研究所(Technology Innovation Institute)を設立したことが挙げられます。同研究所は、世界に影響を与える発見科学と画期的な技術の提供を目的としており、まずは世界クラスの研究施設を備える7つの専用研究センターを設立します。加えて、世界中の卓越した人材、大学、研究機関、業界パートナーと協力することで、アブダビとUAEのR&Dエコシステムの拡大に貢献することが期待されています。
最初の重点分野としては、量子研究、自律型ロボット、暗号、先端素材、デジタル・セキュリティー、指向性エネルギー、セキュア・システムの7分野を掲げています。また、先端技術研究評議会事務局長のファイサル・アル・バンナイ閣下は、「技術イノベーション研究所は、実用的な事例と世界的な影響力を持つ画期的で変革的な技術を開発する先駆的な研究センターです。この研究所により、私たちは科学、社会、経済、環境のために、知識の最前線をこれまで以上に推進できます」と述べています。
UAEにおける商業の中心はドバイと考えられがちですが、アブダビも従来の石油産業の発展・高度化に加え、新たな産業の育成とそのための投資を積極的に進めており、日系企業にとっての事業機会は今後も拡大すると考えられます。
ksnコーポレーションでは、ドバイ政府機関との提携関係の下、アブダビも含めUAE銭貴や中東市場における各種規制の調査から参入戦略の立案、現地パートナー候補のご紹介、展示会出展のサポートといったご支援をさせて頂いております。UAE及び中東地域への進出や販路開拓にご関心をお持ちの企業様がいらっしゃいましたら、是非お気軽にお問い合わせください。