UAEの火星探査機「HOPE」 日本のロケットで宇宙へ
7月20日午前6時58分、UAEの火星探査機「HOPE」が種子島宇宙センターから打ち上げられました。今回の打ち上げは三菱重工業のH2Aロケットにより行われ、打ち上げ約1時間後にはロケットから分離した探査機が目標の軌道に乗り、アラブ国家として初めて惑星間飛行する探査機の打ち上げに成功した記念すべき日となりました。UAEの宇宙開発拠点として設立された「The Mohammed bin Rashid Space Centre(MBRSC)」ではこれまでに4つの人工衛星を開発、昨年にはUAE初の宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに派遣するなど、精力的に活動してきました。中でも大きなプロジェクトの一つとして6年前にスタートした今回の火星探査ミッションは、7億3,500万ディルハム(約220億5000万円)あまりの費用をかけ、UAEの建国50年にあたる2021年に火星を回る軌道に投入する計画です。この調査では火星の気候を研究することを目的としており、その先には2117年に人類を送り込み火星にコミュニティを作るという壮大な目標も打ち立てています。
UAEの宇宙開発においては、自国の技術者を海外に送り込んでノウハウを蓄積、今回の探査機「HOPE」もアメリカの大学と共同で開発しましたが、更に踏み込んでアラブ国家として専門家を育成する「Arab Space Pioneers」プロジェクトも立ち上げています。若手研究者、エンジニア等応募者の中から研修生に選抜されると、3年間UAEにおいて住居、集中的なトレーニングプログラム、奨学金等多くの機会が提供され卒業後はMBRSC等宇宙開発事業へ従事する道も開かれています。第一回目の受付は終了しましたがUAE国内だけでなくエジプトやイラク等周辺のアラブ各国から約37,000人が応募するなど、多くの関心を集めています。
一連の宇宙開発分野におけるプロジェクトにより、自国での若手専門家の育成やその他の産業・科学技術分野への貢献も期待されており、建国50周年に向けた明るい話題として積極的に取り組み・発信される見込みです。火星探査にはアメリカ、中国、ロシア等宇宙開発分野における先進国も注力しており、探査機の打ち上げも予定されています。各国が今後どのように取り組み、宇宙開発及び科学技術分野へどのような成果をもたらすのか注目です。