JFEスチールがアブダビで大径溶接鋼管の製造を開始
Array日本のJFEスチール、伊藤忠丸紅鉄鋼、そしてアブダビの国営基礎産業公社であるSenaatによる合弁企業、AL GHARBIA PIPE COMPANY (AGPC)は9月10日に、大径溶接鋼管の商業生産を開始しました。
AGPCはJFEスチールが27%、伊藤忠丸紅鉄鋼が22%、Senaatが51%の株式を保有しており、アブダビ最大の港湾を擁する工業地域であるKhalifa Industrial Zone Abu Dhabi (KIZAD) に工場を構えています。
同社は2015年に設立され、2016年より工場の建設をスタートさせていました。
AGPCは主に日本より輸入した厚板を鋼管に加工して石油ガス産業に販売することを主要な事業としており、主な顧客はアブダビを始めサウジアラビアやクウェートなど近隣産油国の石油会社となります。
実際にアブダビでは、同首長国の国営石油会社であるADNOCが新たに開発を進めているアブダビ沖合のHail & Ghashaサワーガス向けのコンダクターケーシング用鋼管を受注しているそうです。
ADNOCは昨年より入札の際に自国生産品を優遇するIn Country Value (ICV)という制度を導入しており、こうしてMade in UAEの製品の優位性を高めることでアブダビへの企業進出を加速させようとしています。
また、アブダビ政府もAbu Dhabi Economic Vision 2030を策定し、脱石油と産業の多角化を進めており、特に製造業の誘致を率先して行っています。
こうした政府・国営企業による優遇はもちろんのこと、UAEの内地で製造された製品は、周辺のGCC諸国に対する輸出の際に関税が免除されるといったメリットもあります。
現在JFEスチール以外にアブダビで製造を行っている日系企業はADEKAのみであり、UAEという括りでも日本メッシュ工業、竹中製作所を加えた4社と、その数は決して多いとは言えません。
しかし、製造業については直近の規制緩和の流れで業種によっては外資100%保有が認められる可能性も出てきているため、今後さらにビジネス環境が整ってくることが期待されます。
したがい、今後は一般製造業はもちろんのこと、特にGCCの石油ガス産業を顧客とする企業の現地進出が進んでいくものと考えられます。
ksnコーポレーションでは、ドバイ政府機関との提携関係の下、UAEやアブダビ政府にも幅広いネットワークを持ち、UAE・中東市場における各種規制の調査から参入戦略の立案、現地パートナー候補のご紹介、政府に対する働きかけのサポートといったご支援をさせて頂いております。
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