中東のハブ、ドバイの港湾設備
ヨーロッパ、アジア、アフリカをつなぐ地域である中東。その中でも物流ハブとして機能しているUAEは、世界でもモノの流れが活発な国の一つで、国別のコンテナ港取扱貨物量では日本を上回る第7位となっています。
大規模な輸出入に対応するための物流インフラ整備も進んでおり、世界銀行統計の物流効率を示す指標、LPI(Logistics Performance Index)においても日本に次ぐ13位のスコアを獲得しています。
そのUAEにおいて、10億ドル規模の海事産業向け投資ファンド組成が検討されていると報じられています。
http://www.khaleejtimes.com/business/economy/dubai-mulls-1-billion-shipping-investment-fund
今回は、UAEの港湾設備状況をご紹介するとともに、このファンド組成検討の背景を解説します。
Jebel Ali港の概要
UAEにおける主要な港湾は、世界第9位の貨物量を取り扱うJebel Ali港です。写真:Jebel Ali港の様子(CC BY-SA 3.0)
表:Jebel Ali港の主な諸元 (出典:DP World社ウェブサイト)
Jebel Ali港には冷蔵、冷凍設備も十分に整備されています。
写真:Jebel Ali港の冷凍倉庫(出典:DP World社ウェブサイト)
港を出た後も、冷凍倉庫や冷凍車の配備が進んでいるUAEではコールドチェーンが途切れることがなく、食品などの輸出にも適した環境となっています。
日本からのアクセス
日本からのアクセスにおいても、船便が頻繁に運航されており、航海日数は3週間強程度となっています。輸出入通関の期間を考慮しても、1ヶ月程度で日本からドバイへ荷物を届けることができます。
港湾の話題からは逸れてしまいますが、さらに早く届ける必要のある荷物、たとえば生鮮品などは航空便での輸出を行うことも可能です。
日本からドバイへは毎日直行便が運航されており、これを活用すると約12時間でドバイに荷物を届けることが可能です。
近年の開発動向とファンド組成の関係
1979年に、当時の主要港であったRashid港の設備を補うためにオープンしたJebel Ali港ですが、上記で見たように充実した整備を備えるまでに拡張を続けてきました。しかし、近年の開発には停滞も見られています。
2008年のリーマンショック以降、海事産業には不況が続いており、韓国の韓進海運破産やその後の欧米系海運業者統合に見られるように再編が進んでいます。
それを踏まえ、Jebel Ali港でも開発を進めていたContainer Terminal 4の「需要を見極める」ためとして延期することが公表されており、依然完成の時期は明らかになっていません。
しかし依然貿易物流の9割を担う海事産業は、ビジネス上大きな役割を果たしています。
そうしたなか、脱石油依存を志向するUAEには、そこに安定的に投資する戦略を示す意味でも、今回の海事産業投資ファンド組成を検討しているようです。
今後も海運産業において、UAEがさらなる発展を遂げていく可能性がありそうです。
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