2020年のラマダンがスタート 新型コロナウイルスの影響は?
イスラム諸国では4月24日(金)頃から今年のラマダンが始まりました。ラマダンとはイスラム独自の暦であるヒジュラ暦における第9月のことで、この月の日の出から日没までの間、イスラム教徒は飲食を絶ち、様々な欲を捨て自身を清め、信仰心を強める大切な期間です。ラマダン期間中は、就業時間や学校のスケジュールも短縮され、日没後に親族や友人らと集まって食事をし、モスクで集団礼拝するのが伝統的な過ごし方とされています。また、例年ラマダン期間中には人々の生活リズムに合わせ深夜まで店舗が営業し、ショッピングモールでは大規模なセールが行われるなど、経済活動にも大きな影響があることが知られています。ただ今年は新型コロナウイルスの影響により、商業施設の営業停止、外出禁止令が出されるなど経済や個人の活動が制限される中、どのようにこの期間を過ごせばよいのか不安の声が上がっていました。
そのような中UAEでは、ラマダン期間に入るにあたって4月24日からそれまでの外出禁止令の一部が緩和されることが政府から発表されました。
午後10時以降の夜間外出禁止令は継続されるものの、この緩和によってショッピングモールの営業が部分的に再開され、またデリバリーのみが許可されていたレストランも店内での飲食提供が可能になりました。
UAEの中でも特に厳しい外出制限、商業施設の営業制限をしていたドバイにおいても、従業員を平時の3割に減らすこと等条件付きでレストランとホテルの営業再開を認めており、ドバイメトロを含む公共交通機関も4月26日から運行を再開しています。
ただし、集会を避けるためモスクの閉鎖は継続されており、外出時は常にマスク着用が義務付けられ、違反者には罰金が科される等、依然としてコロナ対策のための細かい規制や罰則も課されています。この状況下でいかにラマダン期間を過ごすのか、特に買い物の仕方や食事のあり方などについてはSNSを中心に様々なアイディアが発信されており、この困難を工夫と連帯で乗り越えようとする動きが見られています。
厳しい行動制限から一転した今回の規制緩和による感染の拡大を懸念する声もありますが、これが1か月のラマダン期間中の人々の社会活動、経済活動にどのような影響をもたらすのか、注目されます。