アブダビ国営企業の改編
2020年3月24日に、アブダビ最大の持ち株会社の1つであるAbu Dhabi Developmental Holding Company (ADDH)が、ADQと名称を変更し、SENAAT, Image Nation, Abu Dhabi Securities Exchangeを傘下に収めると、現地大手報道機関のGulf News紙が発表しました。この変更によって、ADQはAbu Dhabi Power Corporation(アブダビ電力公社), Abu Dhabi Airports(アブダビ空港公社), Abu Dhabi Ports(アブダビ港湾公社), Etihad Rail(鉄道公社), Abu Dhabi Health Services (Seha – アブダビヘルスサービス), Daman(保険会社), Abu Dhabi Media(メディア会社), twofour54(メディア関連フリーゾーン運営会社), Abu Dhabi National Exhibitions Company(国際展示会運営会社)等を既に運営しており、今回の変更を受けて、合計25社の企業を傘下に収め、合計で11分野において事業を展開するUAE最大手の国営企業となりました。アブダビ政府は、今回の変更を受けたADQのポートフォリオ拡大により、首長国の産業、農業食品、メディア、金融サービス、観光セクターの開発へのADQの焦点が深まると述べています。また、今後のグループ運営方針として、同社CEOであるMohamed Hassan Alsuwaidi氏は、「ベストプラクティスと最適な資本配分および管理の適用を通じてポートフォリオをサポートする」ことを検討すると語っています。
中でも、SENAAT社は傘下に多数の事業会社を有するホールディング会社で、製鉄大手のEmirates Steelや、JFEスチール及び伊藤忠丸紅鉄鋼が共同出資するアルガルビアパイプ(石油・ガスのパイプライン等に用いる大径溶接鋼管の製造)、現地食品飲料大手のAgthia も、SENAATからADQ傘下に入ることが決定しています。
UAEを含むGCC諸国において、国営企業や政府系企業、或いは省庁等が再編されることは珍しくなく、また、そういった再編は突然発表されることも少なくないため、現地の国営企業等との事業を推進しようとしている日系企業様にとっては、こうした情報をいち早く入手することが重要になると考えられます。
コロナウイルスの影響で様々なビジネスの動きが停滞がちになっている昨今ですが、弊社では今後も新型コロナウイルスの最新状況に加え、中東地域におけるビジネス状況の大きな変化について、ニュースをウェブサイトにて公開していきますので、適宜、ご確認ください。