ローマ法王のUAE訪問から見えてくるもの
Arrayローマ法王フランシスコが、2月3日から5にかけてUAEを訪問しました。
ローマ法王がアラビア半島を訪問するのは歴史上初とのことで、世界中のメディアがこの訪問に注目しました。
法王はムハンマドアブダビ皇太子などの国家指導者との会談を行い、また5日にはアブダビの屋外競技場においてミサを開き、これには18万人もの人々が集まったとのことです。
歴史上多くの衝突を繰り返してきたキリスト教とイスラム教のこの融和は、UAEの今年のスローガンである「寛容の年」にふさわしく、(外国人の)宗教の多様性を認め、受け入れているUAEの懐の深さが伝わってきます。
その一方で、私見ではありますが、見方を変えるとUAE及び今日のアラブ世界における対立構造の変化を見て取れる気がします。
昨年の10月26日に、イスラエルのネタにネタニヤフ首相がオマーンを訪問し、同国の国家元首であるスルタン・カブースと面会するという出来事がありました。
オマーンはサウジアラビアやUAEと良好な関係を持ち、これらの国々同様イスラエルを敵視してきました。
従い、このネタニヤフ首相のオマーン訪問は宗教上の対立構造の変化を匂わせる出来事でした。
そしてこのローマ法王のUAE訪問です。ここから、これまでのイスラム教とユダヤ教、(そしてキリスト教世界)の宗教対立というものが比較的弱まりつつあり、むしろイスラム教内の対立、すなわち、サウジアラビアとイランの対立の方が重要度を増しているのではないかとも考えることができます。
イエメンの内戦がこの両者の代理戦争となっていることは周知の事実です。
オマーンがサウジアラビアに完全に同調しているかということには議論の余地はあるものの、少なくともサウジアラビア陣営が他宗教の勢力をも味方につけ、国際社会に向けて自身の正当性をアピールしようとしているのは間違いないのではないでしょうか。
とすると、今後イラン向けのビジネスをUAE/ドバイから見ていくというのは現状よりも難しくなっていく可能性があり、制裁解除を見越したイランマーケット参入を考えた場合、UAEよりもイランに歩調を合わせるカタールからイランを見るようにした方が良いかもしれません。
ksnコーポレーションでは、ドバイ政府機関との提携関係の下、UAEやアブダビ政府にも幅広いネットワークを持ち、UAE・中東市場における各種規制の調査から参入戦略の立案、現地パートナー候補のご紹介、政府に対する働きかけのサポートといったご支援をさせて頂いております。UAEへの進出や販路開拓にご関心をお持ちの企業様がいらっしゃいましたら、是非お気軽にお問合せください。