UAE、2028年に金星・小惑星帯へ探査機打ち上げ目指す
アラブ首長国連邦(UAE)の宇宙庁(UAE Space Agency)のイブラヒム・アル・カシム理事長は、2022年3月29日、UAEの新たな宇宙計画が、ミッションの目的やその必要性及びその目的を達成するためのコンセプトを検討する「ミッション・コンセプト審査(Mission Concept Review :MCR)」を無事通過したと発表しました。この新たな宇宙計画の名称は未定ですが、明確な科学目標などの詳細とともに近日中に発表される予定です。この新たな探査ミッション計画において、UAE宇宙庁は2028年に探査機を打ち上げることを目指しています。探査機は金星でのフライバイ探査(天体近傍に接近し各種探査を行うこと)を行った後、火星と木星の間にある小惑星帯(アストロベルト)に入り、7つの小惑星を探査し、最後の小惑星に着陸する予定です。
UAEは、2021年2月に同国の火星探査機「ホープ」の火星周回軌道への到着を成功させました。これによりUAEは中東諸国として初めて火星への無人探査機ミッションを成功させた国となったばかりですが、この新たな2028年の探査ミッションは、火星探索機「ホープ」の飛行距離の7倍にあたる約36億キロメートルを飛行する予定です。UAE宇宙庁のサラ・アル・アミリ長官は、この新たな探査ミッションが火星探査機「ホープ」のミッションに比べて「5倍は複雑である」と述べています。
また、UAEは2022年に小型月面調査機「ラシッド」を月へ送る計画も予定しており、宇宙産業の発展に力を入れています。「ラシッド」は重量10キロほどの小型月面探査機で、日本の民間企業ispace社のプログラム「HAKUTO-R」で使用される月着陸船に搭載されて月面へ送られる予定です。このミッションが成功すれば、UAEは世界で4番目に月面探査機を運用した国となり、アラブ諸国の中では初となります。
このようにUAEでは、各種探査機が今後収集するデータが宇宙に関する理解を深める可能性があることに加え、宇宙開発プロジェクトが経済の活性化へ繋がることが期待されています。UAE宇宙庁アミリ長官は、これの新たな取り組みを通じて、宇宙産業への民間投資を増加させ、国家経済の活性化を図ると述べています。UAEは宇宙開発において国内の民間企業と優先的に契約を行っていくとし、それにより今後5年間におけるUAEの経済に直接的な影響を及ぼし、国を支える産業の一つになるであろうと述べています。
UAEによる月面調査機「ラシッド」の打ち上げ、そして新たな金星と小惑星への探査機ミッションと、UAEによる宇宙開発プロジェクトは引き続き世界の注目を集めていくと思われます。
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参照記事:https://www.thenationalnews.com/uae/2022/03/29/uaes-mission-to-asteroid-belt-and-venus-moves-another-step-closer/