ドバイへの進出・販路拡大を考える(2)
「ドバイでは現地パートナーがいないとビジネスはできない」は本当か?
海外市場へのビジネス展開を考えた際、そのやり方としては大きく「資本投下をして自力で展開する」もしくは「代理店を選定する」の2つに分けられると思います。先の稿で述べた通り、ドバイには外資が株式の過半を保有できないという外資規制があるため、「自力での展開」というのは不可能のように思えます。
しかし、世界中からモノの集まるUAEは本当にそれほどまで閉ざされた市場なのでしょうか。
本稿ではドバイにおける外資単独での市場開拓の可能性について考察していきたいと思います。
(前回の記事はこちら)
①フリーゾーンを活用した展開
まず初めに挙げられるのがフリーゾーン(FZ)の活用です。ドバイには空港や港湾の周辺や金融特区など、FZに指定されている地域・区画がおよそ20程度あり、ここでは外資100%での会社設立が可能です。B to Bの卸売業を考えた場合、FZに倉庫スペースを借りて在庫を置いておけば、UAE内地の企業に商品を買いに来てもらうことが可能です。
これは要するに「FZ企業はFZ外への商品販売はできない」ものの、「ライセンスを持つ内地の企業はFZでの買い付けが可能」ということです。
FZのスタッフもUAE内地で営業活動はできますので、自分たちで営業活動をしてお客様に買い付けに来てもらうということで、UAE内地への販売活動が可能となります。
また、FZの多くはオフィス街であり、その中には金融特区など所得層の高い方々が多く働いているところもあるため、B to Cの飲食・小売店を考えた場合、こうしたエリアは単独でお店を出店することが可能で、かつ多くのお客様を獲得できるロケーションということにもなり得ます。
実際、多くの海外飲食・小売りブランドがFZ内にお店を構えています。
②サイレントパートナーを活用した展開
次に考えられるのがサイレントパートナーを活用したビジネス展開です。サイレントパートナーとは文字通り、経営に口を出さない現地パートナーのことです。ドバイには外国人の経営する数多くの企業がありますが、彼らの多くはこのサイレントパートナーを活用しています。
これを活用すると、例えば自分たち(外資企業)の株式の持ち分が49%であっても過半以上の取締役を出して自由に意思決定することができ、また配当も最大で80%程度まで受け取ることが可能となります。
ただ、こうしたサイレントパートナーを独自で見つけ出して交渉し、契約を締結するのはやはり難しいところもあるため、ドバイではサイレントパートナーの選定も含め、事業上必要となるライセンスの取得を代行してくれる会社が多く存在しており、特に小規模から中堅企業の外資企業の多くはこうしたサービスを利用しています。
これらの代行会社を活用した場合、外資企業は資本金の全てを実質的に自分でまかない、毎年ライセンス料と一緒に一定額の報酬を代行会社を通じてパートナーに支払う代わりに、事業上の利益や配当は全て自分たちで享受することが可能となります。
このように、確かに外資規制は厄介な存在ではありますが、それをうまく回避して外資企業が自力で事業展開をする方法も確立されているため、まずはそうした選択肢を正しく理解することが非常に重要となります。
弊社ではこうした自力での事業展開を前提とした企業様へのコンサルティングサービスはもちろんのこと、サイレントパートナーサービスの提供も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
ドバイへの進出・販路拡大を考える(1) なぜUAE・ドバイへの日本産品・ブランドの進出が進まないのか
ドバイへの進出・販路拡大を考える(3) 代理店選定時のポイント